レバ刺しを食わせろ

思ったことを間違ったまま書いている

コントみたいだった

いつもの帰り道、だいたい毎日タバコの自販機にてタバコを買う場所があるのだが、そこには、灰皿も置いてあるのでそこで補充用のタバコを買って、一服して駅へ向かうというルーティンになっている。

 

一昨日も同じようにタバコを買い、そこで一服をするのだが、乗っていた自転車を止め、時間にして5分もいないだろうから当然キーは外さずに、灰皿が置いてある場所、5mもないだろう、そこへ向い、タバコを吸い始めたのだが、どこからともなくおばあさんが誘蛾灯に誘い寄せられる虫たちのごとくタバコの自販機あたりで僕をじーっと見つめている。

 

ちょっと気味が悪いな。

 

と思って、後を向いたその瞬間、

 

ガシャンッ

 

と自転車の音がするじゃないか。

 

僕はハッとして僕の自転車の方を向き直すと、

 

僕を見ていたおばあさんが、あろうことか僕の自転車に乗ろうとしているではないか。

 

「いやいや、ちょっとちょっと、おばあさん。」

5mも離れてないのでよほど僕がボーっとしてない限りすぐに追いつくし、おばあさんもかなりゆっくりだったので、というかおばあさんが盗もうとした僕の自転車は27インチと、彼女には大きすぎたから思ったように乗れなかったのだろう。

 

僕の声を聞いたおばあさんは観念したのか、自転車を止め直して、僕の正面を向き、

 

「フヮーーー、ごめんなさい、ごめんなさい! ホントにゴメンなさい!」

と、謝って来るのだ。

未遂に終わったから、別に注意だけして帰ろうと思ったのだが、おばあさんの言葉が終わらない。

「ワタシ、◯◯(忘れた)に住んでるんやけど、あそこから歩いて帰ろうと思ったんやけど、思ったより時間もかかって、遠かったもんやから! ホンマに許して! ホンマに、ホンマに、フヮーー!」

※ちなみに「フヮーー」はおばあさんの口癖みたいにリフレインしてる

 

「いや、あの、」

 

「フヮーーー、許してください。許してください、ゆるしてくんなーせ、ゆるしてくんなーせ」

と言われたところで、思わず、

「どこ出身やねん」

と軽く突っ込んでしまった。

 

あまりにも大きな声でおばあさんが僕に謝るものだから、すごい僕周りが気になって来た。

もともとこのやり取りを今、僕とおばあさんを見ている人たちにはもしかすると、僕がおばあさんを虐待してるんじゃないかと勘ぐってしまうんじゃなかろうかと。

 

「いや、おばあさん、もう分かったから。とりあえず僕の話を聞いてください」と言い切りかけたその瞬間、

 

「ちょっと何してるんですか?」

と僕よりかは10以上若そうな男の子と可愛らしい女の子のカップルが僕に話しかけてくるではないか。

 

男の子は、

「おばあさん、何かあったん?」と聞いた瞬間、

 

婆「フヮーーー! ワタシが悪いんです。ワタシが悪いんです。許してください、許してくんなーせー、アーーー」と泣き始めたのだ。

 

いや説明してよ、ってずっと思ったのだが、後の祭り。カップルの男の子は、

「おばあさん、こんなに怯えてるじゃないですか? 何があったんですか?」と正義心よろしく僕に怪訝そうな表情を見せながら問いつめようとしている。

 

えっ何?もしかして悪者は僕?って思いながら、

「いや、このおばあさんが俺の自転車を・・・・」

と言いかけたところで、

 

婆「アーーーーー====! 許してください!」

と僕の腕を掴み離さないのだ。

 

そこで、一瞬俯瞰になり、笑ってしまったのが僕の悪いところ。

 

最終的には警察まで行って説明させられました。

 

ええ、僕はあのおばあさんを許さない。

 

いたずらおばあさん

いたずらおばあさん